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2009年8月22日土曜日

ナアナア

今日、床屋を変えた。

「いきつけ」にベッタリになりがちな私にとっては、以前の店には二度と行かないということだ。今までは自宅から20秒以内かつ完全予約制ということもあって、4年間ほど、けっこう便利に通っていた。店にはオヤジがひとりだけいて、基本的に一対一で他の客はその時間は入ってこない。

しかし、前回、いきつけの床屋の予約時間を寝過ごしてしまったのだ。まぁ、これは完全に私が悪い。前日の疲れがたたってしまったことはあるのだが、まぁ、それにしても言い訳にはならない。これが仕事だったら相手先に怒られても仕方がないことだ。

予約から20分くらい過ぎてしまっている状態で、寝ぼけた頭であわてて床屋に電話をかけた。とりあえず、カット時間は短くなるが来店してくれということで、30秒以内で店に到着した。店に入ってから苦情を言われ続けた。まぁ、仕方がない。予約でやっているわけだからね。ドタキャンされたらその時間は収入ゼロなんだし。

ただ、そんな状況でカットしてもらうのは実に気まずいながらも、細かいいろいろな工程をショートカットしてもらいながら、短時間で散髪が終わった。

その時、ふと思った。

・確かに予約の時間に遅れたのは私が悪い。これは主観的にでも分かる。
・しかしここまでブルーな気分にされる必要はあるのか?
 →「予約の時間をずらされるとうちの利益に響くんですよ。」
・というか無駄な工程を省いたら早くてむしろいいじゃないか。
 →眉毛とか、顔の表面とか、髭とか特に剃ってもらわなくていい。
 →家に帰ってからどうせ頭を洗うんだから洗髪はいらない。
・そこの店主はネガティブ思考で、過去にもそんな話題に耐えてきた。
 →「不景気で今の時代、何をやってもダメですよ。」
 →「しばらくはこの不況は続くだろうし、未来はないですね。」
 →「予約が埋まらなくなってきたら、こんな店やめちゃいますよ。」
 →「うちの店がイヤなら、無理して来てもらわなくていいです。」
・結構、予約って足かせになってきちゃってるな。
 →常連客の予約がそこそこ入っていて予定を組まないと散髪できない。
 →予約して、また同じようなことになったらと思うと気が重い。
・別に技術的にビックリするくらいウデがいいワケでもなかった。
 →たまに帰ってから鏡を見ると切り残しの長い毛がいっぱいあった。
 →基本的にバリカンで短くするだけなのになんで切り残しがあるんだ?
 →たまに細かい傷跡があったりして、明らかに出血していたりもした。

客商売って難しい。明らかに客の方が悪くても、店主が客に怒りを見せたら最後だ。誰がそんな気まずくなった場所に足を運ぼうとするだろうか。サービス業は客にイヤな思いをさせる場所ではないはずだ。

店の利益の話をされた時、つい「ははぁ、このオヤジにはオレの顔が5千円札に見えるらしい。」と思った。だいたい、そこでの散髪料がそれくらいだから。そんな風に思わせた時点で、私はその店にお金を落とすのがバカバカしくなった。

もし、この時に「ああ、お疲れだったんですね。そういうこともありますよ。とりあえず次回からは気をつけてくださいよー。」と声をかけてもらっていたら、確実に今日も以前の床屋に行っていたはずだ。「申し訳なさ」という借りがあったとすれば、私は何が何でもそれを返そうとする性格なのだ。

もちろん原因は私にある。飲み屋で宴会コースを頼んでおいて、ドタキャンしたり激しく時間が遅れてしまったりしたら、当然タダでは済まないだろう。飲食しなくてもその分の料金を支払う必要があるし、それを払わなければ法的な対応があっても不思議ではない。床屋の予約にしても基本的にそういうものだろう。

しかし、どんな固定客(4年も通えば半ば固定客といえないだろうか?)でも、そこの店から離れる可能性を持っているのだ。時間がかかりすぎるとか、会話がネガティブでウザイとか・・・そういう感想が多少あっても「まぁ、長いつきあいだから」と大目に見ているものなのだ。

そこに冷や水をぶっかければ当然ながら目が覚める。「この店は私のいきつけとして向いていないな」と。相手がこちらを大目に見られないなら、やはりこちらも店を大目にみられなくなるのだ。相互作用としてそういう点はあると思う。そもそも店の空気が主客転倒している。

そういう意味ではお互いに「ナアナア」だったんだろうなあと思う。私は予約の時間に遅刻していったワケだし、店の方は切り残しがあっても気づかなかったり、怪我をさせてしまっても何も言わなかったり、ネガティブな話題ばかりだったり、自分の利益優先で客の気分を落ち込ましたり。

そんなワケで、最近、自宅から5分くらいのところにできたカット屋に行ってきた。

・お値段は1100円で今までの5分の1から4分の1!
・洗髪はなしで吸引器(掃除機?)で髪の毛を吸い取る。
・顔剃り、髭剃り、眉剃りはないからスピーディ。
・一人あたり10分くらいだから待ち時間もほとんどなし。
・当日ふらっと行ってもさくっと切れるのはお気軽。
・会話にも気を遣わずにカットしてくれるのがうれしい。

今までの行きつけのオヤジには感謝している。目を覚まさせてくれたおかげで、値段が安くて、時間も短くて、そして気も遣わなくていい店を知るきっかけができたからだ。心から「ありがとう」と言いたい。もうオヤジの店にはいかないけれど。

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