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2009年8月19日水曜日

プロパーとハケン

ハケン暮らしももうすぐ2年半。こんなに長く続けるつもりなんてサラサラなかったのに、思ったよりも長くウダウダしてしまったかなとも思う。まぁ、とりあえず、今、着実にできることをやっていこう。いずれにしてもハケン生活も今年中までかな・・・と考えているし。で、ハケン暮らし真っ最中のうちに思ったことを書き残しておこうと思う。

私自身はプロパーとしてハケンの人と関わった経験もあるし、今はその正反対の立場を経験している。これだけ視点が真逆になってみると面白い発見がたくさんある。

まぁ、どちらも「私のプロパー体験」と「私のハケン体験」という視点ではあるので、それが「世間一般のプロパー像はこうだ」とか「世間一般のハケン像はこうだ」ってことにはならないと思う。それにIT系の業界に限定した見え方に過ぎないんだけどね。

プロパーだった頃、「なんでハケンって仕事を一生懸命やらないんだろう」・・・って思ったことがある。定時になったらさっさと帰宅しちゃうし、なんだか仕事に対する一体感というか連携感が薄い。

そして「結局、あの人たちは一生懸命仕事をやらないからハケン止まりなんだろうなー」とも思っていた。基本的に人生に対する認識が甘っちょろいヤツラなんじゃねーかと。「ハケンって社会をナメてるよねー」って真顔で思っていたからね。

うーん、なるほど。立場が変わってみても、たしかにそう思えるフシもある。まぁ、そう思われても仕方ないかな。ひるがえって、ハケンになってみると見える世界がまったく変わる。当時、ハケンの人たちに聞けなかった答えらしいモノが分かってくる。

基本的にIT技術系のハケンの人々というのは半ば「個人事業主」みたいな立場なんだと思う。だからそこの職場だけで通用することに時間を削ることを好まない。どこの現場でもやっていけるスキルアップを行動の軸にしやすいような気がする。

昇進なんてないから社内のウェットな人間関係には全く興味がない。上司を一生懸命ヨイショしてみたり、会社のためにこんなにがんばっているんだ・・・なんていうアピールも必要がない。というより無駄だ。オリの外からそういうのを見ると「はいはい、どうもお疲れ様」という感覚になっちゃう。

だから仕事に対する一体感が希薄・・・と言われても仕方がない。「実際に『一体』じゃないんだから、それで『一体感』を見せろなんて言われても、そもそもそれは無理でしょ?」ってなっちゃう。一体感を得られた「つもりになっちゃった」ハケンは悲しい。

「パーツとして使えない」と思われたらそこまでだ・・・という覚悟をするのがハケンの宿命なんだから、それなりに仕事に対してもクールにならざるを得ない。「家族同然の関係になっておけばクビは切られないだろう」なんて考えるハケンは認識が甘いと思う。

ハケンの側に立って、プロパーだった時の使命感とか、そこから派生する残業やらを眺めてみると、「組織の中で生き残るためにがんばってるなあ」とか「会社のオリをちゃんと一生懸命に守ってるなあ」という冷静な感想に行き着く。まぁ、ハケンなんてオリの外側の人間だからね。オリの中の権威とか序列とかどーでもいいことに見える・・・いや、実際にどーでもいいんだけど。

こういう簡単なコトがプロパーの立場の時には想像もできなかった。自分の価値観と異なる生き方があるっていうだけの簡単な話なんだけどね。プロパーの立場でいることが世の中で唯一の正解くらいに考えていたこともあるくらいだもの。たぶん自分の価値観を絶対視しちゃうと、異質の存在を永遠に理解できないかもしれない。

ま、プロパー的には「別に知りたいとも思わないけどね」という感想だろうし、それはそれでいいと思う。ただ、異なる価値観とか生き方があることくらいは、現実として知っておいた方がいいと思う。別に理解までしなくていいから。

一方でハケンの人は社会的待遇に文句を言っちゃいけないと思う。少なくともそういう生き方を選択したのだから。選択せざるを得なくて仕方なくハケンになった人は、本来選択したかったポジションに移るために努力したほうがいいんじゃないかなあ。技術を極めて職人になるのもいいし、プロパーを目指しているのならプロパーを目指せばいいじゃないかって思う。

ともかくプロパーとハケンのどちらも経験した立場から考えてみると、この両者がどうもしっくり来ない場合の原因は、

「一生ここでがんばるぞ!」 vs 「まさか一生そこにいるの?」
「この会社のことなら任せろ!」 vs 「その会社だけで通用すればいいの?」

という価値観のすれ違いとか意気込みの温度差があるからで、それがプロパーとハケンの間に感情的な対立構造を生んでいるんじゃないかなと思う。

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