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2011年7月27日水曜日

教えない講座

ちょっとだけ過激なことを書きたくなってきたので書いてみる(笑)。

私は障碍を持っている人向けに「ITコース」の講座をいくつか持っている。
わりと運営者には嫌がられてしまうんだけど、受講者にはっきり言う。

「このコースではパソコンの使い方、Officeの使い方は一切教えません!」

運営者としては「そんなことを言ったら来なくなってしまう」と思うだろう。
それでも、私は最初にこれを受講生に伝えるようにしている。
別にびびらせようなんて思ってはいないんだけど、はっきりと伝える。

「私が伝えるのは、Officeなどを使えるように自己解決する方法です。」

ここで、2つの層に分かれる。

(1) 「なんだ教えてくれないのか」と下を向いたり退室してしまう人
(2) 「自力で解決できるスキルがついたら得じゃないか」と目を輝かせる人

本当に申し訳ないんだけど、私は(1)の人を相手にするつもりがない。
そういう人のために、街角にはたくさんパソコン教室がある。
私自身も「飽和している市場」に乗り出すつもりなんて毛頭ない。

私は「パソコン教室に通いたくない層」を徹底して伸ばしていきたい。
先生に依存せずに自力でなんとか前に伸びていきたい人を伸ばしたい。
これは私が世の中に対して提供できる価値でありサービスの差別化だ。
誰でもできることは他の誰かがやればいいんだから。

たしかに受講生の半分は来なくなってしまうかもしれない。
だけど、私は本気で前進しようと思っている人が伸びてくれればいい。
居眠りをしていても「頭数」が稼げればいいだなんて思っていない。

本気でパフォーマンスを上げるには、それくらいの覚悟が必要だと思う。

2011年7月19日火曜日

通過点

先月の15日に新しい命が産まれた。このブログを書き始めたときは一人きりだった。一人きりのお正月に決心して新しい人生を誓った。自分のすべきことをまっすぐに取り組むことを。

あれから年月は流れた。そして、今、家族がいる。なんとも不思議な気分だ。特に産まれたばかりの娘は、1年前にはこの世界のどこにもいなかった存在だったわけで。

私の少年時代は夢や希望を持って生きることができなかった。環境が特別に悪かったわけでもない。ただ、私が勝手に絶望した日々を送っていただけだった。

しかし、それから20年以上も経ってから「人生の景色」は自分自身で変えられることに気づいた。娘に伝えたいのは「この世界のすばらしさに早く気づこう」っていうこと。

生きている時間、全てが楽しく生きられたらなんてしあわせなことだろう。ただ、私は言葉でそれを伝えることはできないかもしれない。大事なことは言葉で伝わらないことが多い。

たぶん私ができることは、今、生きている私の幸福な人生を見せることだけかもしれない。私ができていないことを誰かに伝えることなんてできない。

さて、これからの人生、より輝かせていこう!

2011年7月6日水曜日

数字の実績としあわせ

現在のところ、まだ、ジョイワークセンターからの卒業生は出ていない。なぜなら、新しい可能性を見つけた人たちが、そのまま徹底的にスキルを磨いているからだ。

一方で他の事業者の支援員さんの中には「どこだっていいんだよ。長く働ける職場に入れれば。」と話す人もいる。これもその通りかも知れない。

実際にこの支援員さんは「数字」としての実績がある。そういう意味では、非常に大切なアドバイスだ。特に「どこでもいいから、入れるところに就職したい。」という人にはいい考え方だと思う。

速効性のある対応は多くの利用者を幸せにするだろう。しかし、自分なりに明確な方向性を持った人に「どこでもいいから入れる会社に入れてしまおう。」というのはどうなんだろうと思う。

失礼なたとえになるかもしれないが、動物園で「決まった時間に確実に食料をもらえりゃ幸せだろう」と言われる動物のような気がする。私が動物だったらそんな動物園の生活はいやだ。

私が考えている就労支援とは、今まで本人すら気づかなかった才能を発掘して、ワンランク上を狙うことだ。「ワンランク上」というとよく誤解されるが、職業の貴賤のことを言っているわけではない。

つまり、「自分の意向とは違うが就職できるところを目指す」という選択肢の上には、「自分自身のスキルを高めて自分の願う仕事があるところを目指す」という選択肢があるのだ。

私はここに徹底的にこだわりたい。「仕事に就く」だけではなく「自分のやりたい仕事に就く」ということだ。実はものすごく厳しいことを私は書いている。そのために必要とされる努力は並大抵ではないからだ。

ネガティブ思考を徹底的に叩きつぶしてポジティブにしていかないといけない。誰かに頼るのではなく自分で自己解決をする姿勢を私は強く要求する。自分の人生を変えるということは、つまりそういうことだ。

「入れそうな人をどんどん企業に入れていく」就労移行支援事業者はたくさんいる。そして日本には、まだまだ働きたくても働けない当事者の数は多い。だから、そういう支援員の方々の存在意義は大きい。

しかし、そういう方々が多いのであれば、なればこそ、私は「自分自身ですら気づかなかった夢を探し出し、その夢を成長させて人生を大きく変える」就労移行支援をしていきたいと真剣に考えている。

本気で生きる当事者が、本気の夢を追いかけて、その夢を成し遂げていく場所を作りたいのだ。「障碍者は仕事にありつけるだけでしあわせ」という構図を崩していかなくてはならないと思っている。