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2009年8月27日木曜日

景気の悪化を望む人々?

「本当はまだ底が深い不況」「今後の最悪シナリオ」などという読み物がメールマガジンで大活躍している。そういうタイトルをさっと見ると「ばかだなあ」と思う。こうまでして執筆料を稼ぎたいのかと思う。書きたいなら読者から見放されるまでネガティブな記事を書いていればいい。

昔、「1999年を迎える前に恐怖の大王が降ってきて地球は滅亡する」なんてデマが蔓延していた。もちろんまったくのウソっぱちだった。「実は世界の裏側では秘密裏にエージェントが暗躍していたのである。」などという三文SFのような話はあっさりと無視するとしても、人間を動かすのに「不安」という要素は相当に大きなものらしい。

ここぞとばかりに不安商法よろしく執筆料を稼ぎたいネガティブ記事が増えているが、その予言が当たるとしても我々はただ黙々と日々を続けるしかないのだ。あの時、1999年に地球が滅亡すると予言されていたにも関わらず、我々は日々をパニックを起こすこともなく、ただ淡々と2000年を迎えてきた。

予言なのではなく「事実に基づいたデータ」と主張したいアナリストもいるだろうが、そのアナリストなる人間は今回の世界同時株安を「事実に基づいたデータ」から予想できていたのか。

起こってしまってから「だからあの時言ったのだ」と言っても遅いわけだし、そもそも「言った」ことが事実だとして、それを防ぐことができなければ全く意味も価値もない。ネガティブな事実が起こる前にネガティブな予想をして、世の中にネガティブな種を余分に振りまいただけだ。火が十分に回ってから「火事だ!」と叫ぶマヌケぶりだ。

そもそも「百年に一度の大不況」なんてコトを強調している時点で、どれだけ彼らの「カン」がアテにならないか分かる。

自分たちの推論が当たれば「データ分析の成果」などと公言し、外れれば「百年に一度の例外」なる謎のおまじないで切り抜けることができるとは、なんと都合のいい世界に生きているんだろうか。さらにはその「百年に一度の不況祭り」を利用して儲けたい輩が徘徊しているのだから油断ならない。

私だけかも知れないが、もう「まだまだ止まらない不況シナリオ」とか「そこまできている○○危機」などという読み物には心底ウンザリしているのだ。今、必要な読み物はそれじゃないだろう。

「○○するためにはどうすべきか?」「○○を防ぐにはどうすべきか?」という話なのだ。百年の○○に酔っ払って、そこから視線を外すことにできない思考停止した輩の読み物に時間を浪費するのは無駄だ。

そもそも、たとえば「地球がもうすぐ滅亡します」と予言されたとしても「ああそうですか」と、途方に暮れるしかないのだ。それが事実だとした場合、本当に必要な情報とは「滅亡を回避するために我々にできることはあるのか?」なのだろう。

よっぽど最悪なシナリオは、ネガティブな予言を本気で信じて大パニックが起こることだ。ネガティブな予言の歌につられて踊るとネガティブな予言は現実化する。ネガティブな予言を真に受けて悪意の予言を的中させてあげる必要はない。

「不況だ不況だ」「不幸だ不幸だ」と書き立てている人間は、不況や不幸のお陰でメシを食えている寄生虫だという事実を忘れちゃいけないと思う。それにしても不況ブームを作って一番トクをしている人は誰なのだろう。

ともかく不況が終わるにせよ続くにせよ、不況の大波がまだ来るのだとしても、我々は日々を生きていかなきゃいけない。実際に何が起こるにしても、今の生活からかけ離れたアクションを起こすことは大多数にとって困難なのだ。

どんなにネガティブな記事が世の中を席巻しても、我々はささやかな希望を信じて日々の生活を粛々とすごしていくしかないのだ。そういう生活の中にネガティブなメールマガジンが届くと、なんとも残念な気持ちになる。

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