11/27の金曜日は、精神障碍の当事者が、ITのスキルをきちんと自分で習得できるようになるようにするための「即戦力ITコース」の二回目。なんとか事前に自分で決めておいた指導項目も全部達成。
ただし、このコースは「ITを教えるコース」ではない。正直に言ってしまうとそれよりも、もっと本質的なことを身につけるコースだ。もちろんITに絡む知識も教えるのだが、それよりももっと大切なことは「自分で解決する能力」だ。そして想像力。これなしではITエンジニアにはなれない。
第一回目は納品が間に合わずにパソコンなしでの講義になったワケで、いくらなんでもパソコンのない講義は「しまりがないなあ」なんて思ったのだが、さすがに第二回目にはパソコンが間に合った。
パソコンがあると実は前準備が面倒になるのだけど、そこは優秀なスタッフがサポートしてくれるので非常に助かる。前準備が必要なことは分かっているのだが、講義の開始前は正直それどころではない。
実は講義を始めるギリギリの直前まで、頭の中でベストな講義内容のイメージトレーニングしていることもあって、私の頭の中のほとんどの注意力とか集中力、それから想像力はちょっと先の未来を向いている。
昨晩まで考えた講義の進め方以上に、パフォーマンスを引き出す方法はないのだろうか・・・なんて考えて続けていたりする。すると、ふっと天から新しいアイデアが降りてきて、急遽、そのアイデアに切り替えることもある。
当初、ビデオ教材でも作って見てもらおうか・・・という構想もあったにはあったのだが、やっぱりそれじゃだめだ。「ライブ」の楽しさや緊張感があった方がいい。
だから、先日までに練りに練り込んだ講義方針があっても、受講生のみんなの興味が向かう方向や得意分野を見つけたら、すぐによりよい方向に軌道修正をする。それがライブだ。楽しさとか興味、好奇心が人を伸ばすのだと思う。少なくとも私はそうだ。
さて、二回目の講義は私が考えている講義の中ではもっとも重要なことを行った。それは「夢」をA4の紙にフリーレイアウトで描いてもらうというもの。そしてそれを、みんなの前でプレゼンテーションしてもらうのだ。
「何のためにこのコースを受講しているのか」という目的がはっきりしていることが必要で、自分自身の目標を忘れないように書くこと。そして他の人はどんな目的で受講しているんだろう?・・・ということを知って刺激を受けることは重要だと思う。
これを書いておくと、何かでくじけそうになったときに、自分自身の支えになる。初心ってそれくらいに大事だ。
フリーレイアウトというのも私が意識したことだ。決してフォーマットを作るのが面倒だからとかそういう理由はない。いや、面倒だからというのは多少あるか。まあ、面倒でも効果があるなら苦労してでもフォーマットを作ろうと思うけど、フリーレイアウトの方が効果が高いと思う。結果的には「ラクして最大の効果」という選択肢に落ち着いただけともいえる。
誰かが決めたフォーマットというのは見る側にとってはラクだし、場合によっては書く側にとってもラクかもしれない。しかし、フリーレイアウトでなくては分からない情報があふれていると思う。主張したい気持ちの表現方法、レイアウトのうまさ、イラストのうまさ・・・などなど、想像力やセンスのような要素がたくさん垣間見える。これが彼らにとっての現在の資産なのだ。
ちなみに、この「ラクをする」という発想は私の講義の中では大きな軸になる。受講者には「ラクをする」という「戦術」を身につけてほしいと思っている。「ラクをする」というのは「怠ける」という意味ではない。いや、多少は恩恵として「怠ける」があってもいいと思うくらいだが。「ラクをする」ためには頭を使わなくてはいけないのだ。
安易にラクをしようとすると、後で余計に大変なことになってしまって「ラク」じゃなくなる。だから、先を見据えて考えることが要求される、それなりに高度なテクニックだとも思う。
もうちょっとキレイな言い方をすれば「行動分析」と「効率化」ということになる。工夫しないと数十時間かかることを数分でできるようにする。面倒だったことを簡単にする。これがもっともシンプルな意味での「IT」だと私は思う。
さて、みんなに作ってもらった思い入れのたっぷり詰まったたくさんの紙。これが最初の青写真。これから、WordやらPowerPointやらを使って、もっともっとキレイな文書に変わっていく予定だ。
そしてキレイな文書に変わっていく過程の中で「夢」とか「目標」そのものが変化してもいいと思う。むしろ新しい目標の選択肢を見せていくことは、このコースの講師としての私の使命でもある。
ちなみに、私は、一日でWordの基礎を終わらせようと考えている。Wordに時間をかけてはいられないのだ。別にWordの講義をやりたくないという理由ではない。いや、多少はあるけれど。だって、この先、もっともっと楽しい世界が待っているのだから。
そういう楽しい世界を見ておいた方がいいと思う。ただ単に機会に恵まれなくて知らないだけだったらもったいない。よく、WordやExcelを最終目標に設定しちゃうことがあるけど、私はしない。WordのためのWordの講義なんてつまらないでしょ?
基本をさらっとやったら、後続の講義の中で必要に応じて実用で使ってもらうつもりだ。ExcelやPowerPointもそうだ。学ぶために学ぶのではなく、使うために学ぶのだ。本当に使うか使わないか分からないような機能も含めて、テキストの最初から最後まで覚え込まされるなんて、私だったらNo Thank youだ。つまらなくって講義中に寝てしまう。
たとえば、「文字を大きくしたい」、「色を変えたい」、「図形を描いてみたい」。こんなものは誰かから「1から学ぶ」ものじゃないと思っている。ただ「やりたい」とか「こうしたい」という気持ちがあってはじめて必要になるのだ。
だから、必要なら必要なその時に覚えてしまえばいいと思う。受け身ではなく「気持ち」とか「欲求」という形で自分の中からでてきた好奇心を満たすことが大事だ。さあ、お楽しみはこれからだ。
そういえば他の週も担当しているスタッフから、「こういう講義というのは、翌週から少しずつ人数が減ったりするんですよね。」と聞かされていたので、「今回はちょっとはラクができるのかな?」と思っていたら、なんと今回は前回を上回る人数になってしまった。
想定して準備していたパソコンの台数が足りなくなってしまうほどの大盛況。私に期待してくれているんだな。ありがたい。そして私も彼らに期待しているんだけどね。
お互いが幸せになれる講義をやっていきたい。
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障碍者就職サポートセンター「ビルド」
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047-320-0345
「即戦力ITコース」は金曜日のみとなります。
もし、ご興味があったらどうぞ。
ちなみに精神障碍の当事者の人が対象「だと思ってます」。
・・・って、講師の私が書いてよかったんだっけな?
ま、あくまでも私が「思ってる」だけということで・・・。
厚労省データで、身体9%、知的7%で、精神0.001%の就労率だもの。
困ってる層からなんとかしましょうよってことで、ここはひとつご勘弁を。
それから、夢を描いただけで講義が終わったワケじゃないので、念のため。
ちゃんとパソコンを使った講義もやりましたとも。
いろんな思いがつまった「夢」の紙たち。※あ、拡大しても内容は読めないようにしてあります。
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