人間の記憶は7~9個までを最適として短期記憶限界があると聞く。しかし、実際に口に出して7個の全てを連続して言うのは難しい。指折りしながら途絶えてしまったり、重複してしまうものだ。
赤・黄・青・・・の信号とか。グー、チョキ、パーのじゃんけんとか。子供が覚えやすいものは、3個の固まりになっているような気がする。大人でも、普通、7個もポイントを言われたらメモを取るだろう。メモなしの記憶最適数は平均しても3つだと思う。
要するに7個なら大丈夫というのは、ある意味でウソなんだろう。でも、3個なら覚えられる。「実はこれが本当の最小単位なのではないか?」と私は思っている。むろん、これは私の記憶能力に依存した程度の低い話かも知れないが。
3個というと、いくらなんでも少なすぎるんじゃないだろうかとも思わなくもないが、それは7個でも同じことだ。全てを7個に凝縮するのは無理なのだ。「ラッキーセブンだから7にしたんじゃないの?」・・・と思うほど。
本当に実用として使える知識というのは、必要な時にすらっと出てこなくちゃ意味がない。そういう意味では実用記憶をするために、ポイントを3個以下にまとめるのは重要ではないだろうか。
と、そういう言い訳を並べつつ、重要ポイントを3つに絞る過程について考えてみたい。題材にするのは、2009/11/18に渋谷で行われた障碍者雇用の勉強会だ。講師は大東コーポレートの山崎社長。
あえてメモを見ず、記憶の中のみから話の概要を書いてみる。
(1)大東コーポレートは大東建託の特例子会社である。
(2)元々は法定雇用率を満たすために作られた会社である。
(3)精神障碍者雇用によって実際に多大な利益がでている。
(4)知的・身体・精神のどれも採用対象である。
(5)筆記テストは平均点数が低く意味がないのでやめた。
(6)面接も本人ではなく支援者や親が答えるのでやめた。
(7)自分のできることは当事者の方にもできることである。
(8)怒ったり叱ったりせずに根気強く反復が必要である。
(9)達成目標は当事者自身に書いてもらう。
(10)達成目標のスパンは2週間の短期と1年間の長期である。
(11)何かが起こったらすぐに報告してもらう習慣をつける。
(12)失敗を怒らない代わりにウソをつかない約束をする。
(13)明るく挨拶をする習慣をつける。
(14)失敗の責任はすべて代表者の責任との認識を持つ。
(15)当事者と一緒に二度と失敗を起こさない方法を考える。
(16)短期的に無理をさせてしまうと長期的にダメになる。
(17)焦る気持ちに「ブレーキ」をかける能力は必須である。
(18)精神障碍の場合は最初は3時間から開始するとよい。
(19)ひとつのことができるようになってから職域を広げる。
(20)複雑工程の解決として高性能ハードウェア導入も有効。
(21)ミスが深刻化する前の段階でチェックの段階を設ける。
(22)大手が敬遠しやすい少量多様な生産業務を専業化する。
とても3個にはまとめられない・・・が、7個だって無理だ。
メモを見ないで、取り上げてみたって21個もあったりする。
・・・あれ?・・・7つを超えてるぞ?
でも、記憶の中から引っ張り出すのに時間はかかっている。
「ああ、そういえばこれも」というのはコアな記憶じゃない。
そこで、いろんな視点からこの話を自分なりに切り分ける。
単なるまとめではなく、自分なりの視点や匂いをつける。
◆大東コーポレート概要
・特例子会社である
・精神・身体・知的と多様な障碍者を雇用
・外注の競合他社に比べても大きな利益を提供
◆育成における注意点
・無理をさせない(ちゃんとブレーキをかける)
・怒ったりしない(誉めて誉めて伸ばす)
・根気強く時間をかける(反復を強く意識する)
◆自主性の醸成
・一緒にトラブル防止策を考える
・一緒に目標設定を考える
・目標設定を自分で書いてもらう
◆効率化のポイント
・地道な反復による作業効率の向上
・浅いチェックポイントでミスを検知する
・費用対効果により高額な装置導入も検討
◆収益化のポイント
・地道に業務範囲の拡大をすすめる。
・原則残業なしを前提で業務をすすめる。
・大手が面倒くさがる業務を請ける。
いくらか削れてしまっている部分もあるが、あくまでも「私の価値観」で3個ずつにポイントを絞るとこのようになる。
講義は教科書ではないのだから全部覚えなくていい・・・と、私は思う。もし、講義の通りにやったとしても、それは単なるコピーだ。コピーが悪いということではなく、コピー元の経営者が持つ特性や個性まではコピーできないことの認識が重要なのだ。
経営者が持つ特性や個性がある前提で、たまたま方向性がベストマッチングすると成功事例につながる。だから講義を聴くときには常に自分の価値観に合うもの、もしくは合わせるべきだと思うことを明確に意識したい。
たぶん、そういう価値観だとか好き嫌いの感覚が、無意識に自分の個性や特性に合う価値観に結び付けてくれているような気がする。
それはそれとしても、大東コーポレートはすごい会社だ。特例子会社ゆえに「障碍者ありき」という宿命の下で生まれた会社ではあるが、職を転々としがちな(いわゆる)健常者ですら、こういう会社だったら長く定着するんじゃないだろうかと思う。
私は勝手に「メンタルユニバーサル」と呼んでいるが(そして広げたいとも思っている)、本来、精神障碍者が楽しく仕事できる環境というのは、(いわゆる)健常者にとっても楽しく仕事ができる環境だと思うのだ。
特殊な人たちが置かれる特殊な環境・・・ではなく、ストレス圧力が極めて少なく、「快」のオーラに満ち溢れた仕事場は、すべての人に好ましいのだと思う。(もちろん死ぬほど働きたい人は、死ぬほど働くのも自由だ。)
もし、そういう仕事場に巡り合っていれば、私もサラリーマンを辞めたいなんて思ったりはしなかったと思う。でも、せっかくサラリーマン生活を抜け出そうと、ここ数年、構想を温めてきたのだ。せっかくだから自分が就職したら幸せになる事業を創ってみたい。
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