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2009年11月6日金曜日

精神障碍とモチベーション

精神障碍の人が就労する場合の、ハードルの高さを考えています。
それは就労時間の短さとも、欠勤確率の高さとも言われています。

実際、一日5時間の週4日というケースも確かに珍しくありません。

が、実際にはすべての当事者に当てはまるワケでもありません。
欠勤を全くしないで頑張っている当事者もけっこういるんです。
作業所で当事者を眺めていても、例外はいっぱいあるようです。

でも、精神障碍の当事者は「根性ナシ」と思われることが多いです。

「だって、就労が決まっても、ヤツラ、すぐ辞めちゃうじゃん。」

・・・まあ、持続しないケースも確かにけっこう多いみたいです。
で、私はこの「持続性」の原因自体にものすごく興味があります。

たとえば、ものすごく働きたくない職場で働いているとします。
ただ、生活のためには仕方がないから働いているとしましょう。
・・・正直なところ、そんな環境なら私でも持続できません。

でも、極端に雇用先がない状況はそういう状況を生み出します。
実際に精神疾患の人を受け入れたくない企業は相当数あります。
そして選択肢が狭まった状態で、職業選択を迫られるわけです。

で、「入れただけでも幸せなんだからがんばりなさい」とか。
ある意味「入れただけでも幸せ」はその通りなんですけどね。
だけど、一方ではちょっと違和感を感じたりもするんですよ。
狭い選択肢から選んだその仕事は、本当にやりたかったのか?
・・・って。

精神障碍の当事者が働きたい・・・というとどこでしょうか?
たとえば「掃除」とか、たとえば「事務」とか。よく聞きます。

「でもさあ、その『清掃』って、本当にやりたい仕事なの?」

と聞きたくなったりするんです。

「その『事務』というのは、たとえば具体的に何したいの?」

と聞きたくなったりもします。

もちろん、清掃業が心から好きなら「清掃業務」全然アリです。
仕事自体としては、とっても大事な仕事だと思っていますから。
ただ、選んだ仕事が、本当に好きかどうかは大切だと思います。

精神障碍って、語弊を恐れずに書いちゃえば「正直病」ですよ。
いわゆる健常者って「本当はキツイんだけど」耐えきっちゃう。
「正直、8時間労働って超キツイっすよ」と思っていたとしても。

だけど「正直病」にかかっていると、ゴマカシがききません。
キツイ状況に置かれると、体が先にやられちゃったりしちゃう。

それでは、本当は働きたくない環境でもし働いていたとしたら?
・・・そりゃ辞めちゃいますよね。だって正直病なんですもの。
限られた職業選択肢の中に、好きな仕事がないのって不幸です。
「離職率の高さの原因ってそこなんじゃないの?」と思います。

だからね、求職者側も福祉に「してもらう」だけじゃダメです。
具体的に「自分は何をすると幸せなんだろう」を考えなくちゃ。
で、「どの仕事をすると幸せに近づくんだろう?」って考える。
考えるというより「妄想」レベルでも構わないと思っています。

現実を見すぎて、夢や希望を失うくらいなら妄想した方がいい。
妄想から、自分の目指したい方向性を見つけりゃいいんですよ。

選択肢がないのなら、自分から選択肢を作る選択肢もあります。

「自分自身の幸せを追いかけている実感」=「モチベーション」

なんじゃないかな・・・と私は思うんです。

就労支援側も、選択肢を増やす努力をした方がいいと思います。
与えられた選択肢からの脱却を目指した方がいいんだろうなと。

そういう志で、私は精神障碍の当事者向けの講座を担当します。
正直、IT業界で働いていた時よりも、収入は大幅にダウンです。
時給ベースで考えたら半減なんて言葉じゃ足りないくらい薄給。

ただ、長期的視野でビジネスを考えているのでできるだけです。
当面は個人的に大赤字だけど、ひとつの投資だと考えています。

要するに「幸せを追いかけているつもり」だからできるんです。
自分なりのモチベーションがあるから、できるってだけです。

そのために未来に対する建設的な妄想が必要なんだと思います。
で、それは精神障碍の当事者だって、そうなんじゃないかなと。

個人的にはこんなことを考えています。

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