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2013年8月24日土曜日

再びのハケン活動について

◆巡り巡ってまたハケン生活

いろいろと遠回りをしまくって、またハケンなる仕事形態をしております。とりあえずIT系エンジニアという形です。でも、正直思うわけです。40歳でハケンってどうなんだよと。世の中ではだいぶ落ち着いてくる年齢じゃないですか。社会的責任も担っていて……と、ある程度、世の中を動かす立場に近づいているはずで……とか。

もちろん、以前、ハケンをしていた時に比べると、ずいぶんと状況は違います。妻がいて、娘がいて、そして今月には息子が生まれました。当時に比べて、背負うものはてんこ盛りです。もちろん背負うことが重荷だとか、そんなことを書くつもりはないんです。ありがたい存在です。

でもね、さすがにね、40歳になって、いいづらいですよ。「私には実現すべき夢があるんです」だなんて。「そろそろ現実的な選択をしろよ」「できるかできないかわからないことに家族を巻き込むなよ」「家族に安心な生活を提供しろよ」……と、私の内なる声もちゃんと言ってきます。いい大人ですから。

しかしね、私は思うんです。目前にある実現寸前の夢を捨てて、安定した会社員生活に逃げ込んだとして、どんなメリットがあるんだろうって。ここまで数年間の準備をしてきました。それこそいろんなことを犠牲にしてきました。年収もそうです。キャリアにしてもマニアックすぎて、企業に売り込みやすいキャリアではありません。

「メンタルの障害で困っている人がITエンジニアになる可能性を本気で目指すノウハウ」……なんてキャリア、マニアックすぎるでしょう(苦笑)。もちろん、私自身は全く無駄だなんて思っていませんし、今でもそのノウハウは磨いていきたいと思っています。たまたまメンタル疾患と診断されただけで、残りの人生を捨てるには、人生は長すぎます。

まあ、ともかく、私はハケンという仕事の形態を選んでいます。正直なところ、それまでいた福祉業界に比べると、いったい今までなんだったんだろうと思える程度の収入格差があります。だからこそ、今、夢を追えると思っています。夢を追うことで、家族にお金の心配をさせちゃいけない。(もちろんハケンだから安定性では不利なままですが。)

ただし、夢がないなら、やはりハケンなんて選んじゃいけないという考えは、今でも変わりません。ハケンはずっとできる仕事じゃないからです。それに「夢追い人」が、いつの間にか「夢老い人」になるリスクも私はイヤというほど感じています。だからこそ、私はハケン以外の時間は、ほとんど「夢」に費やしています。

この「夢」については、いつかまた、タイミングを見て書いてみたいと思います。かなり現実までの距離が近づいてきましたので。今回は「ハケン」という働き方について、もうちょっとリアルな視点、そして肯定的な視点で書いてみたいと思います。ネガティブなこともいくらでもかけますが、それではやはり前向きではありませんので。


◆ハケンという働き方のメリット

環境やタイミングにもよりますが、やはり大企業の仕事場にさくっと入れるということだと思います。なんだかんだ言っても大企業に入るためには多くの難関を越えなくてはなりません。大企業というと「歯車」というネガティブな印象を受ける人もいるかもしれませんが、このシステムも必要不可欠だなと、最近、特に思います。

私は、木材加工工場、国家公務員、第三セクター、中小企業、大企業、地方福祉NPO法人……といろいろな規模の事業場を経験してきましたが、良くも悪くも小さい法人では、「小さい世界でうまくいけばいい」という雰囲気があります。もちろん大企業でも「これが世の中のスタンダードだ」と勘違いしていることもあります。

しかし、私はどちらの経験も知っていることが重要だと思うのです。海に生きている人は「この海が世界のすべてだ」と思ってもいけないし、井戸に生きている人が「この場所が世界で一番正しいのだ」と思うのも違う。そういう意味で幅広く世界を知るために、ハケンというシステムは便利ではあります。

闇雲に仕事場を変えればいいとは思いませんが、通常、一度、大企業に入ってしまうと、よほどのことがない限り別の人生を選ぼうとは思いません。ぶっちゃけ、もったいないじゃないですか。その企業に入るために多くの時間をかけてきて、それで辞めちゃうなんて。おそらく周囲の反対を受けることも覚悟が必要です。もちろん、辞めて起業する人もいますが、それは少数派であり「よほど」のことがあったわけです。

しかし、ハケンであれば、「この仕事だっていつまでも続けていられないし」という現実もあり、一つだけのキャリアを積んでも意味がないという理由も十分にあります。つまり、大企業というノウハウの結晶の現場を移り変わりながら体験できるという意味では有利です。もちろん、そのキャリアを積極的に活かそうと思えば……という話ですが。

ところでキャリアといっても、「業務」そのものはあまり強みになりません。そうではなく、あくまでも「ノウハウ」の蓄積が強みになります。人為的ミスを減らすためにはどんな手段があるか、どんな対策をすると効率的になるのか、どんな進め方をするとスムーズにことが進むのか。そのあたりの普遍的なノウハウを蓄積することが鍵になります。


◆いろんなハケンに学ぶ

ハケンというと「業務を機械のように淡々とやる人」というイメージがあるかもしれません。少なくとも私にはありました。もちろんそういう一面もあるのですが、今、私がお世話になっているところのハケンさん(ちょっと形態は違いますが)を見ていると、非常に勉強になることが多いです。

プロパーさんの一手先を読んで、まるでコンシェルジュのように立ち回っています。面倒くさそうだなと思えるような業務、忘れているんじゃないかなと思えるような業務については、できる範囲の適切な準備をしてから進言にいきます。最初から自分でやるよりも、ある程度の準備がなされたいた方が取りかかりやすいことは間違いありません。

つまり、とりかかりの精神的ハードルを低くした上で、業務提案にいくという動きです。それでいて、越権行為にならないように十分に慎重に動いている。もしかすると、プロパーさん以上に神経を使って、クオリティの高い仕事をしているように見えます。そういう意味でいい刺激をくれるハケンさんです。

ただ、私もある程度の年齢を重ねました。昔なら、彼の仕事ぶりを完全再現できるように必死に目指していたかもしれません。もちろん、それは悪いことではありません。今でもいい部分で無理のないところは吸収しようと思っています。しかし、目標となる能力を身につけるコストを考えて、今はあまり「コピー」を必死にやらないようになりました。

いいわけのつもりではないのですが、「彼は彼の持ち味を無理なく最大限に活用して活躍している」と考えています。つまり、私には私が活用すべき資源があり、ゼロから他のコピーをするよりも、私なりに積み上げたノウハウで戦い(貢献)をすべきだと思うのです。ちなみに私の武器は「業務工程をシステム化して難易度と失敗率を下げるスキル」です。

夢を追いながら……ということではあるのですが、ハケンの仕事も非常に頭を使うやりがいのある仕事です。以前の業界にいる時はあまり言わなかったそうだったのですが、妻によると「初めて『やりがいがある』なんて聞いた」だそうです。夢も、そしてハケン仕事もおろそかにせず邁進しようと思います。

なんにせよ、刺激のある毎日というのは幸せです。