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2011年2月1日火曜日

儲かってほしい

気持ち的に丁寧な言葉を使いたい気分なので、今日は丁寧に。

今の仕事柄、福祉関連の方々に関わることが多いのですが、本当にすばらしい方々の多いこと。まさに人生を賭けて活動している人が多いんですね。ある意味でとても豊かな生き方をしていると思うのです。ただ、残念だと思うのは「お金」に対するアレルギーのようなものをたまに感じることです。

私はこのブログでも何度も書いているんですが、福祉関連の方々はもうちょっと「お金」のことを考えた方がいいと思うのです。「無償」とか「ボランティア」という考え方も嫌いではありません。しかし、そこにこだわるあまり、自分たちが生み出すノウハウや情報に関する「価値」にも適正な評価ができていないようにも思うのです。

すると結局、そこからお金に繋げることができなくなっちゃうんです。お金がないからやりたいことを実現するのに、ものすごく時間がかかってしまったりハードルが高くなっちゃう。「拝金主義」というわけではないのですが、やっぱりお金は必要なものです。あえて大上段から構えて書くようなことでもないのですが。

で、こういうコトを書いちゃうと嫌われちゃうのかもしれません。「我々のきれいな世界を汚さないでくれ」と言われてしまったとしたら、私には返す言葉が正直なところありません。なぜなら私は障碍を持つ方々と一丸となって利益を稼ぎたいからです。障碍を持っている人と一緒に利益を出すことのどこが悪いのでしょう?

私にとって「障碍」→「純粋」→「美しい心」→「聖域」などという世界観はありません。そうじゃなくて、障碍があろうがなかろうが、人間としてやりたいことはやりたい。稼げるのなら稼ぎたい。それだけだと思います。そんなことを書くと「障碍者を食い物にしやがって」と言われそうですが、そんなことを言ったら、受験業界だって「受験生を食い物」にしています。

しかし「受験業界」について考えてみると、その業界も本質的には受験生をしあわせにするために存在しています。それが「障碍者」という世界になると急にタブー視する傾向が強くなってしまう。これは逆に大きな課題なんじゃないかと思うのです。私のこういう気質が損を招いてしまうのかもしれませんが、おかしいと思うことはおかしいと言いたい。

そういう意味で、ジョイワークセンターはある意味で健全な状況を保てているように思えます。なぜなら利用者の方々にも「コスト意識」を常々持っていただいているからです。どのような工程によって「お客様からの感謝」=「お金」が入ってくるのか。そして、どのような点に気をつけると稼ぎ出すお金が増えるのか。これを明確に意識していただいています。

ジョイワークセンターでは稼ぎ出した利益の中から「訓練支援金」として、業界では比較的多めの工賃を支給しています。もちろん最終的には就職が目的ですから、あまり多くなりすぎないようには気をつけています。たくさんお金を受け取るのが当たり前になると、逆に就職意欲がなくなってしまう可能性があるからです。でも、できるだけ多くお渡ししたいと思っています。

ただ、このコスト意識は必ず今後の就職に役に立つと思っています。私は「きれい事」をあまり好みません。なのではっきり書きますが、「会社はお金を稼ぐ」ということが最も大事です。どんな清く美しい理想を掲げようが、お金がなくなれば企業としての命運は尽きてしまいます。だから「最初に理想ありき」というよりも、「お金を稼ぐメソッドによりそう理想」が必要なのだと思います。

つまり、会社に就職するということは「お金を一緒に稼ぐために戦う仲間」になるということだと思うのです。だって、会社の中でみんながずっと遊んでいたらどんな社長だって怒りますよね。「ここは遊び場じゃない!」って。そうじゃなくて「一緒に戦う仲間」だからこそ、一緒に何かを真剣にやることが面白いんだと思うんです。

私は「障碍を持っている人が特別に美しい心を持っている」なんて幻想は持っていません。たまたま苦手なことやできないことを持っている仲間に過ぎません。そして私自身も「この業界にいるからには美しい心であれ」なんて特別に思っているわけではありません。「できることを普通にやろうぜ!」ということ。それだけです。

で、最終的に何が言いたいのかっていうと「稼ごう」とか「儲けよう」という気持ちって、誰にとっても自然なことなんじゃないかなってことなんです。それが「福祉」という枠組みの中に入ると「清貧こそ人間の本質だ」みたいな感じで価値観が標準化されちゃう。それって本当に関わる当事者が願っていることなんだろうか・・・って私は思っちゃうんです。