私は就労移行支援の仕事として、ITを利用した業務を通じて、本人すら気づかなかった才能を見つけることに喜びを感じている。そうやって本人が持っている無限の可能性を活かしていきたいのだ。
そうはいっても、今までも書いてきたように、知識を安易に教えないのは私のポリシーだ。ちゃんと自分の頭を使って考えることには最大限のこだわりがある。
新しい知識を必要とするミッションを提示したら、あとは基本的にそっと見守ることが多い。大きく間違えた方向にいかない限りは、本人の力を信じて待っている。
と、こういう話をすると聞かれることがある。
「じゃあ、別にITを知らない人でも、ミッションのリストなりマニュアルさえあればIT方面の支援ができるってことですかね?」
なるほど、確かに見守るだけなら誰でもできる。しかし、私の結論としてはNoだ。一生懸命になって当事者がミッションを成功させた後が大事だし、本人の頑張りに反して失敗してしまった時が大事なのだ。
技術的なスキルを身に付けたときに、それがどれくらい素晴らしい価値があるのかを知らなくてはいけない。失敗してしまったとしても、そのための努力に隠された発見や、正しい糸口のヒントを伝えられなくてはいけない。
成功体験は正しい評価を与えることで輝きを増すのだ。「何か分からないけどすごいね!」という態度では、モチベーションを下げてしまうだけだ。仕事の本質を知り、その価値を心から讃えることが何より必要だ。
人は「自らの価値を認めてくれる人のために本気になれる」のだ。これは障害があろうがなかろうが、本質的に変わらない真実だと思う。
正しいモチベーションは、時間をかけて醸成した信頼感の上にこそ成立する。それだけに信頼を一度損ねてしまうと、取り返しのつかない状態になることも少なくない。
できたことに対して正しく評価しようとする真摯さと、信頼を大切にしようとする誠実さがなければ、人材育成に関わってはいけないのだと私は思う。
このことを自分自身に問いかけながら、人材が「自力」で伸びていく様子を見守っている日々だ。
どの程度実現できるか分からないが、私に出会った人たちの人生が、一人でも多く上昇気流に乗っていただきたいと願っている。
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