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2013年5月26日日曜日

ネガティブの使い方

◆ネガティブ=悪?

「そんなにネガティブになっちゃだめだよ」というように、ネガティブという言葉は忌避されるイメージがあります。そもそも「なっちゃだめだよ」という言葉自体も否定形でネガティブな響きがあります。確かに話をしていて「これはダメだと思う」とか「やっても無駄だよ」という会話にはウンザリします。

ネガティブといえば、昔から伝わる言葉で「悪事千里を走る」というものがあります。つまり、ネガティブな話題は短い時間であっという間に伝達されてしまうという意味です。今のようなデジタルネットワーク時代ではなかった頃からの言葉だと考えると、ネガティブな情報のエネルギーはすごいようです。

ただ、私は「ネガティブ情報こそが人類を現在に至るまで生存させてきた重要な要素」だと思っています。たとえば次のような状況で優先すべき情報はどちらでしょうか?……「もう少し前進すると生存に必要な泉がある」という情報と、「もう少し前進すると猛毒を持った蛇の巣がある」という情報です。


◆寝ている頭をたたき起こせ

たいていの場合、人間が生きていくために必要な情報の優先度は「ポジティブ情報」よりも「ネガティブ情報」の方が高いことが普通です。「よく食べる好きな食べ物はなんですか?」よりも、アレルギー反応も含めて「避けている嫌いな食べ物はありますか?」と聞いた方が生存に関する安全性は高まります。

このように、ネガティブなイメージは生存本能に近いところに存在しているので、ポジティブなイメージよりも反応が早いことが多いのです。たとえば、「あなたの未来の夢はなんですか?」と聞くと「特にないです」と答える人が多いのですが、「今、不満はありますか?」と聞くと即答できる人は増えます。

一時期「好き」の反対語は「嫌い」ではなく「無関心」だという言葉をよく聞きましたが、「問題意識の有無」というのもこれと同じで、基本的に「不満点」と「改善点」は対をなしています。不満がなければ便利な自動車やコンピュータは生まれなかったはずです。多くの発展は不満を基盤にしています。


◆黒を白にするということ

ネガティブなところに気がつく人は、生きているだけで「なんとかしなければならないポイント」を探し出すことに長けています。不満を不満のままにするのではなく、それを「どうすれば解決するのか」というところまで追求していくことができれば、より幸せな日々を送ることができるようになるはずです。

ネガティブなポイントの中には変えることが難しいものもあります。たとえば、「苦手な相手の性格を変える」ということは不可能に近いでしょう。しかし、「何が苦手なのか」、そして「そう思うのはなぜか」と考えていき、「相手の性格の長所にはならないのか?」と、異なった解釈を導くこともできます。

そんなに改善点の宝庫になりうる「ネガティブな人」なのですが、やはり人間づきあいをする上では気をつけるべき点があります。それは「どうせ変わらないに決まっている」という思い込みを捨てることです。「どうやったら変わるのか」を考えられるようになれば、おそらく人間関係もラクになるでしょう。

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