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2011年11月15日火曜日

シンフォニー型育成(後編)

前回のブログで書いたように、私はちょっと変わった人材育成方法をすすめている。それは「基本的に教えない」という方針だ。その代わり徹底的に「自己解決力」を身につけていただいて、分からないことは自力でクリアしてもらうことにしている。

私のやり方を「Web制作」の実例で説明しよう。通常はHTMLというコードの書き方の初歩を一斉に教えていく方式がポピュラーだ。しかし、私はできる限り本人の「好奇心」を最重要視している。それも個人個人がバラバラでも全くかまわない。

・HTMLというコードを作成してWebページを作りたい人
・PhotoshopやIllustratorを使って素材画像を作りたい人
・Webページに掲載するための文章を書きたい人
・プログラム言語を利用して動くWebページを作りたい人
・Webページのデザイン性を高めることに興味がある人

それぞれについて、それぞれが自分の課題として取り組んでいただく。基本的に自ら好奇心のある領域を担当してもらうため、比較的、ストレスも少なくて済む上に、それぞれの存在感が際立ってくることもポジティブな効果を生み出す。

相対的に「私は○○さんよりも劣っている」という考えではなく、担当している領域で「私はオンリーワンである」という自信に繋がるのだ。そしてチーム力も高まっていく。なぜなら、全員が協力しないと何もできないことが明確だからだ。

私はこれを「シンフォニー型育成」と呼んでいる。それぞれの楽器がそれぞれの役割を楽しみながら、結果として一つのシンフォニーになるのだから。お互いがお互いのスキルを尊重しながら、敬意によってチームがまとまる体験は強烈だ。

引きこもりや対人恐怖のような壁を乗り越えて、ひとつのチームで力を合わせ、それぞれが「自立的」に仕事をしている様をみると、まるで普通の「会社」のように見える。実際にご見学いただいた方々が驚かれることも珍しくない。

「私が思っていた福祉施設とは全然違います」
「まるで本当の会社みたいですね」
「この方々には本当に障害があるのですか?」

・・・得たり!

まさに私はそういうコメントがほしくて、そして本気で働いている人たちの本当の価値を分かってほしくて、この仕事をしてきたのだ。「かわいそうだから」でも「法定雇用率でこまっているから」でもなく、「戦力」として期待される人材になってほしいと思う。

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