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2011年3月23日水曜日

非常識なライブ講義

私が企画しているITコースの講義は何でもアリだ。むしろ、世の中に当たり前に存在している内容と同じことをするくらいなら、私は他のことに時間を費やしたい。だから、私は非常識と言われようが、いや、むしろ非常識と呼ばれるコースを企画している。

たとえば、ITコースなのに、具体的なサイト作成の方法は教えない。Excelを使うといっても関数や集計の方法などは教えない。やるとしたら、Excelでプレゼン資料を作って遊んだり、面倒くさいプログラミングをExcelでラクして生成するなんてことをしている。

基本的に「自分で調べて自分で身につけるべし」という姿勢を終始一貫しているからだ。本気で新しいことを覚えようとするなら「誰かに教えてもらおう」なんて思っている時点で失格だ。細々としたことは自力で調べて自己解決すべしだと思うからだ。

「自立のため」といいいながら、手取り足取り教えているところもあるが、個人的にそういうシステムは自立を妨げるだけだと思っている。真の自立とは「頼らずに前進する気持ち」から始まるのだ。自立への近道は「自己解決力」を身につけることに他ならない。

今日は就職サポートセンター「ビルド」でのITコースで全く新しい試みを実施した。その名も「ライブ講義」だ。基本的に私のITコースには筋書きがない。そういう意味では常に「ライブ」と言えなくもないが、今回の試みはそれ以上にライブだ。

実は私の今までの仕事の中で、パワーポイントでアニメーション機能を使う機会がなかった。パワーポイントで資料を作っても、基本的に印刷物配布を前提とするので、そもそもアニメーション機能を使う必要がなかったのだ。だから私にとっては未知の世界。完全なゼロ知識だ。

これを二時間という限られた時間で、ゼロからどのように知識を得て、どのような突破口を見いだし、どのように実用に展開させていくのか。これを実際に受講生に見てもらうことにしたのだ。受講生も私も未知の領域という意味では、ほぼ同じ視点で見えることだろう。

実は前日の時点で、念のために予習をしようかどうか迷った。私だって恥をかきたくないし、そもそも仕事なのだから万全を期したい。しかし、それをしてしまうと「ゼロ知識」ではなくなってしまう。心のどこかでできるだろうと思っていたが、準備を全くしないことへの不安はやっぱりあった。

結果的にはそれなりに有意義な内容になったと思っている。

(1) Google検索でのキーワード選定のコツ
(2) Google検索結果でのリンク先評価のコツ
(3) 検索結果からさらにピンポイントで絞り込むコツ
(4) 参考ページの使い方(完全に読み込まずに途中で遊ぶ)
(5) 遊びから応用的に業務レベルのテクニックに昇華させる

それぞれのポイント詳細は残念ながら企業秘密だ。いや、正直に言おう。ここでそのポイントを書くためには、自分自身のノウハウ自体を再分析する必要があるし、そのために多くの時間を割かざるを得ず、ここには書ききれないというのが実情だ。別に意地悪をしているわけではない。

ただ受講生にとっては大きな刺激になった様子だった。何よりもマジメな性質を持つ彼らにとって、私の「浅いアプローチ」は不思議に感じたかもしれない。「少しでも分からなければすぐに読解を断念して次に行く」という手法。しかしスピードのためには必須テクニックだ。

さらには、参考になるページが見つかっても、そのページの通りには「絶対に進まない」という点も不思議だったかもしれない。しかし、彼らに書いてもらった感想シートを読む限り、私が一番伝えたかった点が間違いなく伝わっていたことが分かり安心した。

「学習」ではなく「遊び」として「楽しみ」に変えてしまい「おもしろい」に変化させるまでの過程が伝わったというのだ。全くその通りで「おもしろい」に変わった瞬間にスキルのほとんどを手に入れたようなものなのだ。あとは「おもしろい」の勢いに身を任せればいい。

私は単純に何かを教えようというつもりは毛頭ない。しかし「おもしろさ」を伝えることには全力を傾けたいと思っている。これこそが私がこの仕事をやっているゆえんだ。小手先のテクニックではどうせ向かった先で詰まる。「本質的な力」=「好奇心」=「自己解決力」こそが重要なのだ。

私の頭の中には次の「非常識」がすでに準備されている。これからが楽しみでならない。

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