私は、現在のところ、障害者就労移行支援事業所の「ビルド」と「フラッグ」の2ヶ所で「即戦力ITコース」という講座を担当しています。私の中ではどちらがどちら……という区別をしていなかったので、特に気にしていなかったのですが、このブログを読んでくれていた方からお電話でお問い合わせをいただいたそうなので、ちょっと書いてみようかと思います。
【質問】 まつしたの『即戦力ITコース』はフラッグとビルドで何が違うの?
では、お答えします。
……と、その前に、わざわざお問い合わせをくれた方、本当にありがとうございます!
さて、この「フラッグ」と「ビルド」というのは、同じNPO法人の下で運営されている就労移行支援事業所です。ひらたく説明してしまうと、次のような違いがあります。
■障害者就職サポートセンター「ビルド」
→最寄り駅:(京成線)国府台
・メンタルでお困りの方の全般が対象
・年齢制限は特になし
■ユースキャリアセンター「フラッグ」
→最寄り駅:JR市川・(京成線)市川真間
・特に発達障害でお困りの方が対象
・35歳以下の方を対象
つまり、どちらの「即戦力ITコース」がいいのですか?……というご質問の前に、どちらに入られますか?……という話が先になるんですね。
ちなみに、2013年4月現在において、まつしたが常駐しているのは「フラッグ」です。
◆選ぶことができる場合にはどちらがいいの?
「ビルド」でも「フラッグ」、いずれも私が担当している「即戦力ITコース」でやっていること自体はあまり変わりません。基本的には「自己解決力を身につけて、自分一人で困らないためのスキルを身につけていく」という体験をもとに、新しいことにチャレンジしていただきます。
しかし細かいことを書くと、やはり変わってきます。それは私が常駐している「フラッグ」の方が、お会いできる回数が必然的に増えると言うことです。つまり、ちょっとしたことを聞きたいときに、どちらがチャンスが多いかと言えば圧倒的に「フラッグ」の方がラクかもしれません。
「ビルド」の方は1週間に2時間だけ出向いて講座を開いているので、少なくとも「即戦力ITコース」関連においてはそれほど手厚くフォローできませんが、「フラッグ」であればちょくちょくと相談に乗ることができると思います。もっとも、「自己解決力」が活用できていれば、どちらでもそれほど困らないのですけどね。
それから「即戦力ITコース」以外の特典(?)として、「フラッグ」では、まつしたが独自に開発した「松下式タッチタイピング」を毎日午後に受講することができます。これは、飽きっぽくて、不器用で、スキル習得が苦手なまつしたが、もともと「自分自身のために」開発したタッチタイピング習得法です。
このタッチタイピング練習法の講座は、まつした以外のスタッフに担当していただいているのですが、早ければ2週間程度で効果がでてくるということで、ひそかに人気があるようです。というよりも、もともとは「自分用」だったので、「他の人の役にたつかなあ?」と思っていたくらいだったのですが、思いのほか効果が高かったので教材化しました。
◆そもそも「即戦力ITコース」ってなによ?
ここまできて、このタイミングで聞きますか?……っていう感じですが(苦笑)、簡単に説明します。
【即戦力】
→いわゆる「自己解決力」を身につけていただきましょう
【IT】
→(1) ITを便利に使って自分自身の苦手を補ってしまいましょう
→(2) 興味があればIT業界へのキャリアを目指してしまいましょう
単語で分割して説明すると、だいたいこんな感じです。
「即戦力」っていうと「入社した途端に仕事がバリバリできて……」なんてイメージをよく聞くのですが、たいていの場合、そんなことはありえません。そんなの幻想です、妄想です、ファンタジーです(笑)。そもそも「バリバリ」というのは具体的に「何ができている」ってことなのでしょう?
どれだけ知識を持っていようと、スキルを持っていようと、入社して最初の数ヶ月は環境に慣れるだけでいっぱいいっぱいです。コピー機の使い方のルールやら、交通費の精算方法、仕事の流れと暗黙のルール、○○に詳しいのは誰なのか?……など、新しい環境で新たに知らなくてはならないことが満載です。
その中で、どうしても分からないことは新しく入った会社のスタッフに聞くしかないのですが、「わからないこと」には二種類あるんです。ひとつは「一般的なこと」そして、のこりが「その会社のローカルルール」です。ローカルルールはそこの人に聞くしかありません。
会社に入ると、「なんでも分からないことは聞いてくださいね」なんて言われますが、「一般的なこと」ばかり質問していると、だんだん「お互いにつらく」なってきてしまいます。聞かれる方はどんどん仕事の時間がなくなっていきます。聞く方も迷惑をかけているような気がしてきて聞きづらくなります。
基本的に会社組織というのは「人が増えた直後は効率が低下する」のです。新人に仕事を伝えるという仕事そのものが時間を圧迫するのです。つまり、「入社すると、その直後は必ず既存のスタッフに迷惑をかける」ということですね。
「しらないこと」には「一般的なこと」と「ローカルルール」のふたつがあるのですが、そのうちで「一般的なこと」くらいは自分で解決しましょうというのが、私が伝えている「自己解決力」というものです。「戦力になるということ」は「それまでの職員をしあわせにすること」です。
つまり、入社直後に「自分で解決できそうなことは解決を試みる」という姿勢そのものが、自分自身の「お荷物感」を軽減することに繋がります。あくまでも相対的なものですが、「手間のかからない新入社員」はそうでない人に比べて「即戦力」であると言えます。
◆別に「IT」を目指さなきゃいけないわけじゃない
次に「IT」についてですが、私の講座に出たからと言って「IT業界にいかなければいけない」というわけではありません。むしろ、「IT業界にいかなければいけない」と構えてしまう人には、あまりその業界は向いていません。どちらかというと「好きだから行く」という方がいいと思います。
じゃあ、なんなのかということですが、まずは「ITを味方にする」ということに尽きると思います。たとえば、私は記憶力がそれほど高くありませんが、そういう類のモノはITサービスを使って、自分の代わりに多くの記憶を委ねています。スケジュール管理もそう、単調で大量の仕事もプログラミングで正確かつ高速に終わらせます。
自分の足りないところを、どうやってITを使って補うのか……ということを身につけて欲しいと思っています。これは、先ほどの「自己解決力」というのもその一環ですね。自分の知らないことを「いつでも」「どんなことでも」「IT技術を使って」「解決する」という行動になります。
ひらたくいえば「ITを使ってラクをしましょう」ということです。しかし、ここで勘違いしないでください。「効率的にラクをする」ためには、効率的にラクをしようと思っていない人の数倍も頭を使わなければなりません。つまり、「先に苦労をしておいて」「後からラクをする」ということです。まぁ、そこらあたりが「ITを味方に付ける」醍醐味でしょう。
そして、「ITという道具」に慣れてきたら、「業界」としての「IT」に目を向けてみるといいかもしれません。なぜなら、就職する環境として他の職種よりも有利なところがあるからです。それは「競争率が一般事務や軽作業に比べて低い」ということです。そして専門性が増せば増すほど給料水準も高くなる傾向にあります。
なぜ競争率が低くなるかと言えば答えはシンプルです。「IT業界って難しそうだから……」とか「一般事務だったら自分でもできるかも……」というハードルを越えていく人が少ないからです。逆にいえばこのハードルを越えていくことができれば、違った選択肢を手にすることができるのです。
◆「ちょっと突き放した感じ」の講座でございます
どうしても「手取り足取り」じゃないと厳しい人は、街のそこら中に「パソコン教室」がありますので、そちらへどうぞ♪……また、まつしたの担当ではありませんが、「フラッグ」にも「ビルド」にも「パソコン基礎」を「教える」クラスが週に2時間ずつあるようですので、そちらに出てもいいかもしれません。
……ちょっと本筋からずれてしまうのですが、「Excelをマスターしたい」とか、私にはよく分かりません。「Excelをマスターするのが目的」なんじゃなくて、「Excelを使って仕事をラクにするのが目的」なんだよね。すると、漠然と「Excelをマスターしたい」なんて言うんじゃなくて、「Excelの何を知りたいのか」を具体的に言えていないといかんのだと思うのです。
「初心者はそれができないから困っているんじゃないか」と思うかもしれませんが、まず、初心者を卒業するところから始めた方がいいのです。もっと丁寧に言うと「初心者意識」から脱却することが何よりも重要なのです。初心者の傾向というのは「なんでも教えてもらおうとする」習性があります。
私がたてた方針は、実際にエンジニアが「自力でスキルを獲得していく手順」に沿ったものなんです。一度、教えられグセがつくと、自力で解決しようとする力が衰えてしまいます。分からないことでも順を追って考えるクセを付ければ、必ず自力で分かるようになってきます。
そして、私はその方法を一生懸命伝えていきます。そんな感じのコースですが、ご興味のある方はお問い合わせください。
※連絡先はこの記事の右側の柱部分に記載しています。(2013年4月20日現在)
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