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2013年4月28日日曜日

Taskchute2で時間を捕まえる

◆Taskchute友の会に参加しました

本当は「ワールドカフェに参加してみよう」という内容で書いてみようと思ったのですが、私にとっては衝撃的というか、とてもインパクトのあるイベントに参加できたので、今回はそれについて書いてみたいと思います。「ワールドカフェ」についてはまた後日。

4月28日(日)、私は「Taskchute友の会」というイベントに参加しました。場所は小岩駅周辺のコミュニティセンターで、参加人数17名でした。その前に、Taskchuteというのは、タスク管理についてひとかたならぬ思い入れと情熱で研究してきた第一人者の大橋悦夫さんが開発したExcelマクロの名前です。

現在、このTaskchuteは無料でサイトからダウンロードして利用することができます。私が使っているのはTaskchute2というもので、これは有料です。オススメなのはしばらく無料版を使ってみて、それで気に入ったらTaskchute2を購入して使ってみるといいでしょう。

無料版も有料版も、「使った時間を記録すること」が基本になります。最終的には「タスクの時間を正確に見積もる」というところにまで踏み込むのですが、使い始めの頃は「ひたすら記録する」という行動をすることになります。正直なところ最初からうまく見積もれません。

なぜなら、「過去の実績に基づく見積もり」ができていないと、予想図ばかり書いてしまってしまい、どうせ守れない見積もりになってしまうからです。守れない見積もりほどモチベーションを下げるものはありません。まして「守れない」ことが常態化すると日々の進歩に悪影響を及ぼします。

というところで、時間を効率的に使いたいと願っている人にとって、「知らない人はモグリ」と言っても過言ではないツールです。なぜなら、そのあたりのことをGoogleなりで調べると必ずでてくるんですよ。Taskchuteというやつが。

今でこそTaskchute無料版が公開されていますが、一昔前は、有料のみの限定公開だったこともあり、Taskchuteは秘密のベールの向こう側にありました。私のように疑り深い人間としては、「よく分かりもしないのにお金なんて払えるか!」なんて思っていました。


◆もともとTaskchuteには否定的な人でした

さらにいえば、Excelのマクロなわけですよ。マクロ。Excelがなきゃ使えないマクロ。もうね、どれだけ手を抜いているんだと。ちゃんと売り物にするんだったら、フルスクラッチでコード書いてくださいよ。アプリケーションにしてくださいよ……とか思ってました。ええ、間違いでした。その理由はまた後ほど。

それでもって、繰り返しになりますけど、プラットフォームがExcelなんですよ。このWebアプリ全盛、クラウド万歳なご時世の中でExcel。クラウドの良さってのはネットに繋がってさえいれば、端末を選ばず、それこそ場所も選ばずに使えるんです。それがExcelですよ。使おうとすると必然的に場所に縛られちゃうわけです。

こんなに縛りがあって有料とかありえんだろう……と思ってました。もともと、私はTaskchuteを知る前から、いろいろとタスク管理のあり方について模索していたり、IT系のエンジニアをしていたことから、自分自身をラクにするためのWebアプリをちょいちょい作ったりしていたので、「よし、じゃあ、自分で作ってしまおう」と思っていました。

しかし、見事なほどの「言い訳」なんですけど断念しました。

 (1) まずタスクアプリを作っている時間が捻出できない
 (2a) Webでサクサク動くイメージが湧かない(読み込みとか更新とか)
 (2b) 急にLANに繋がらなくなったらどうする(タスク閲覧すらできません)
 (2c) Androidアプリを組んでデータを同期するとしてデータが衝突したら?

……いろいろと考えてみると面倒くさいことだらけなのです。本気で商売しようと思わない限り、とてもじゃないけど開発なんてできません。しかも、こんなマニアックな仕組みがどれくらい売れるんでしょうかという話もあります。自分にとって最適なモノが作れたとしても、そこにかかる時間的コストのリスクがありすぎるんです。

で、悔しいけど、一度使ってみたんです。Taskchute無料版を。


◆「ああ、使いやすいじゃないか」

誘惑に負けて初めてTaskchuteを使ったときの衝撃は忘れられません。Excelで実装したというのはまったく無駄のない戦略でした。そもそもExcelというのはMicrosoftの優秀なエンジニアが知恵を寄せ合って作り上げた「完成品」です。そのプラットフォームの上で軽快に動かすことができるのに、Excelと同じ仕組みを最初から作るなんて「車輪の再開発」です。

さらにいえば、もともと大橋さんは「売るために作った」わけじゃないんだと思うんですね。「自分自身が便利に効率的に動けるようになるために」……というアプローチだったのだろうなと。そこがスタート地点だった場合、あえて最初から全部のパーツを作っていこうだなんて、忙しい人は考えないような気がします。

それから、クラウドについても「必要ないんじゃないか?」という結論にたどり着きました。クラウドって確かに便利です。……けど、その実装はけっこう面倒くさいんです。というのが、ネット環境に繋がらなくなったことを考えなければいけなくて、それを考えていないとネットが使えなくなった時点で全てが破綻するんです。

たとえば「圏外」なんてのもそうですし、モバイルWifiルータの電池切れでも同じことが起こります。そういう場合に、ローカル側のアプリにデータを持たせておいて、再度、ネットに接続したときに同期させる……という方法もメジャーな対応策ですが、場合によって端末ごとのデータが入り乱れることも予想されます。(いわゆる衝突)

そういうところまで考えると、なんだかとても面倒くさい。まぁ、できないことはないのだろうけど、仕様を考えるだけで面倒くさい。そういうループの中でクラウド版+Androidネイティブアプリの自作をやめました。だって、根本的には「タスク管理アプリを作る」よりも、「他のやりたいこと」が主役なわけで、そこにコストかけるのってどうなのよと。

というかね、私の仕事のほとんどはデスクワークなわけです。ほとんどがPCの前で仕事をすることばかり。たまに外に出かけますけど一ヶ月に数える程度です。つまり、必死でクラウド版+Androidアプリの仕様を考えたとして、そして、苦労して作り上げたとして、その恩恵にあずかれることはほとんどないんです。いつもExcelが使える環境で仕事をしている。あー、ばかばかしい。


◆Taskchute2の6300円って高くね?

有料ということの妥当性についてですが、Taskchute無料版を使った時点で妥当性はよく分かりました。正直、当初は「Excelマクロに6300円って、高くねーか?」と思っていたんですが、これは正直言って「安い」です。だって「マクロ」そのものの値段ではなくて「ノウハウ」への対価なんです。それにマクロへの対価だったとしても、なおさら「安い」のです。

たとえば、時給が3000円だったとして、Taskchute2と同じような機能が2時間ちょっとで完成できますか?……と聞かれたら、正直なところ無理です。時給2000円だったとして3時間ちょっとで……これも無理です。思い切って時給1000円だとして、6時間ちょっとで……いえいえ、そこまで時間をかけるなら買ってしまった方がいいです。

ええと、見栄を張って6時間とか書いちゃってますが、正直、6日かかっても無理でしょう。6ヶ月でも難しいかもしれない。そこはなぜなのかといえば、Taskchute自体が数年という「ウィスキーにも負けないほどの熟成期間」をかけて生まれているからです。私は負けず嫌いな性格ですが、素晴らしいモノについては素直に賞賛するしかないのです。

実際のところ、使い続けていると細かい挙動として「ラクができる」配慮がいくつもされています。ぱっと見で思いついたのではなく、何回も使い続けて、何度も繰り返されるパターンを見つけて、それを補う機能を地道に追加していって、そこから何回も使い続けて……という工夫が随所に見られます。つまり、「王選手のスイングのマネはできても、ホームランは量産できない」ということです。

Taskchute2には、練り上げられたシステム、練り上げられた効率性……それだけでは語り尽くせない何かがあると思っています。それは「練り上げられた時間哲学」とでもいうものでしょうか。おそらく、Taskchute2を越える何かを作ろうとするなら、少なくともそれができるまでのプランニングはTaskchute2を使ってやるのがいいんでしょう。笑い話みたいだけど。

いずれ、Taskchute2のプラットフォームでもあるExcelが盤石でなくなったとき、そして、本家がクラウド版を作らなくては……なんて動きになった時には、ぜひともそのプロジェクトに参加したいと思いますが、正直、今のところはTaskchute2で何も不満はないので、当面はこのまんま使っていくような気がします。


◆流れゆく時間を遊ばせないこと

Taskchute2を使っていると、「ああ、もう、こんな時間か……一体、今日、何に時間をかけたんだか思い出せないけど、とりあえず忙しかったなー!」なんてことがなくなります。もちろん、今でも、「今日はあっというまに一日が終わったけど、なにに時間を使っちゃったんだろう?」と思うことはあります。しかし、Taskchute2に目をやると、疲れ切った私の脳みその代わりに答えてくれます。

あと、「正直ベース」で記録を付けていくと集中力の低下まで分かるようになります。私の場合、疲れていたりすると、小刻みに休憩の頻度が増加していきます。しかもけっして「小刻みではない」休憩の頻度が上がります。その時の状況を分析して、それと同じ状況が発生してしまったときには、思い切って気分転換をした方がトータルコストが下がるという判断もできます。

それから「できること」と「できないこと」がハッキリするようになります。気持ちが充実している朝なんかは、「あれもこれも今日中に終わらせてしまおう」なんて思いがちなのですが、残念なことに時間には限りがあります。Taskchute2を使っていても、その傾向が見えるのですが、実績分析が甘いときほど、見積もり時間を少なくしてタスクを詰め込もうとしたりしてしまいます。

それから、Taskchute2にあってTaskchute1にない機能として、数日間を通した長期時間予約表が見られるのですが、この機能の存在は大きいです。人間というのは自分に甘くなる生き物のようで、「なんだかんだ言ってもあと30日あるからね」と、ざっくり残り日数をカウントして「永遠に続きそうな小学生の夏休み」と同じ幻想を抱いてしまうのです。

しかし、ちゃんと予定タスクを組み込んだTaskchute2の長期時間予約表を覗いてみると、思ったよりも時間的余裕がないことに気づきます。定例タスクは光熱費や家賃のごとく固定費となって決まった時間を削り取っていきますし、臨時で設定されてしまった会議や面談の時間はより大きい単位で消費されていってしまいます。

すると、実際に使える時間はずっと少ないことに気づきます。正直なところ、私は社会人になってからも、何度「夏休み最終日ののび太くん」を体験したか分かりません。それは「幻想の持ち時間」と「現実の残り時間」をごっちゃにしてしまったから起きた現象だと思います。「徹夜をすればなんとかなる」だなんて見当外れなファンタジーです。


◆今日の友の会で得られた気づき

そんなわけで、活用すると世界が変わる(かもしれない)Taskchute2ですが、本日の友の会ではいろんな気づきがありました。自分自身の発言もありますが、それ自体が友の会が刺激になって言葉になって出てきた感があります。

(1) 先送りってどうしてる?

私の場合は、格好悪くても先送り機能を使って、「■■■ほげほげの仕様を検討する」のように、先送りマークを増やしています。これは自分自身の危機感を煽りたいという意図があるのと、先送りマーク「■」が5回を越えたときに、「着手できない理由」や「本当に必要なタスクなのか?」という要検討案件として見える化したいからです。

これに対して大橋さんのコメントはシンプルでした。「とりあえず1分でもやってみる」ということ。まずは着手したという足跡を付けるということが重要だということです。私の場合、先送りマーク「■」が一定値を越えたところで、タスク名の後ろに「着手する」という言葉を入れることがあります。たとえば、「■■■ほげほげの仕様検討に着手する」とか。

営業テクニックで「フット・イン・ザ・ドア」という話をよく聞いたことがありましたが、これはタスク攻略においても有効なようです。ただ私の実例を思い返してみると、タスクの先送りを何度かしてから「着手」……という対策は後手に回っているような印象をぬぐい去れません。これからは「1分でもやってみる」を心がけてみようかと思います。

そもそも「着手」自体を先延ばしする意味がありません。ちょっとでも「着手」したらゴールなんですから。そうだそうだ。これからは「1分でも着手」にしてみよう。

(2) 外出中のタスク転記ってどうしてる?

私はほとんど外出しないので必要ないのですが、外出するとポイントポイントでTogglで記録して、後からTaskchute2に転記するのですが、これがたまってくると着手のハードルが高くなりそうですよね。これに対して、そうだよなあ……と思ったのが、「外出時間も仕事なので、『外出仕事』というくくりでざっくりと認識する」という意見でした。

私がたまの営業に出かけなくてはいけない時には、訪問開始と訪問終了時間だけをTogglで記録します。その間は特に遊んだりコーヒーを飲んだり……ということはしない人なので(真面目なのではなくて、お小遣いが少ないのと面倒くさがりというだけですw)、必然的に残りの時間は移動時間になります。

ちなみにTogglの小ネタ(?)ですが、過去に一回でも登録があると履歴表示されますので、事前にありそうなタスクを0分で登録しておくと便利です。「ido_移動」、「hst_訪問開始」、「hed_訪問終了」のようなタスクを入れておくと、スマホ入力の時も最初の数文字を入れるだけで候補選択で入力補完されるので便利です。

ちなみに私個人としては、「Place Me」というAndroidアプリを知れたのが収穫でした。……と、いっても、友の会が終わってから、事務所に移動してそこからずっと仕事をしていたので、ほとんど移動していないので実際の評価は今のところ謎です(笑)。Google Latitudeと同じガッカリ曲線を辿ることになるのかどうか……使ってみようと思います。

(3) 脱線しがちな状況をどうすればいい?

脱線の理由にはいろいろありますが、タスク割込みを防ぐ手段として大橋さんが興味深い解決策をコメントしていました。「朝早く仕事を始めることです」ということですが、確かに朝は誰からの電話も入りませんし、メールにしても読む時間を「いわゆる営業時間」まで遅らせておけばペースを乱されることもありません。

さらに、Webページを読み言ってしまうリスクについてですが、「意外とWebページにうつつを抜かしてしまうのって夕方以降だったり、疲れた頃だったりしません?」というコメントもあり、実際にその通りだなあと。朝、これから始まるって時に、いきなりWebページにうつつを抜かすっていうのは、不思議と少ないですよね。時間がもったいないというか。エクスキューズがないというか。

あと、通常時間の脱線で一番多いのが「誰かから声をかけられる」ということですが、これについても興味深い解決策が検討されました。大橋さん曰く「声をかけてきた人の顔写真を撮っちゃえば?」という大胆な意見。ケンカになると時間がもったいないので、さすがにそれはできませんが(苦笑)、代わりに紙に人の名前を書いておくのはありですね。

笑い話としては、「話しかけるたびにタイムカードを押してもらっては?」とか「持ち時間を設定して超過分は何かでお支払いいただいては?」という意見がありました。どれも真顔で実行できる作戦ではありませんが、確かに誰にどれくらい時間を使ったかという情報は重要で、頻繁に繰り返される割込みパターンには、それ自体にタスク改善の余地があると考えていいでしょう。

長くなってしまいましたが、Taskchute2って、本当に人生の時間の使い道を意識させてもらえるので超オススメですよ!……というのと、Taskchute友の会、かなり刺激になりますヨ……ということで、いつもの倍以上に長くなってしまった本日のエントリを終わろうと思います。

ところで、ありがたいことに、大橋さんご本人から著書をいただいてしまいました。厚かましくもサインまでしてもらっちゃって。最近、凹むことの多かった日々でしたが、一気に持ち直してきた感があります。ぐぐっと気合いを入れてなんとかがんばっていけそうです!

『「いつかやりたいこと」を「今からやること」に変換するスマホ時代のタスク管理「超」入門』です。

そろそろ帰宅しようかと思っているので、超読みます!……感謝!
えっと、ホントにこれで本日のエントリを終わります。

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